学会大会

 

2022. 9.21 - 日本幼少児健康教育学会第41回大会【季:山陽小野田大会】の
御礼とご報告

 2022年9月17日(土)、18日(日)の2日間、山口県・山陽小野田市立山口東京理科大学において、当学会第41回大会【秋季:山陽小野田大会】を、3年ぶりの対面開催(オンラインとのハイブリッド形式)で実施いたしました。当日の勢力の強い台風の接近により、2日目は短縮したスケジュールとなりましたが、予定していた内容をすべて無事に終えることができました。参加者の皆様の多くのご支援やご協力をいただき、全プログラムを開催できましたことを心より御礼申し上げます。

 参加者それぞれがご自身の言葉で学びや成長と “遊び” との位置関係を改めて捉え、次の試行錯誤につながる一つのきっかけになれていればと願っています。なお、現地参加者79名、オンライン参加者48名、計127名に全国各地からご参加いただきました。

 山陽小野田市・山陽小野田市教育委員会との共催により実現したシンポジウムでは、山陽小野田市で行政と現場、教育・研究機関が三位一体となって取り組まれている特徴的な幼少児健康教育の実践と研究について、4名の演者(坂井 久美子 氏:山陽小野田市立山口東京理科大学 薬学部、山本 真由実 氏:山陽小野田市 福祉部健康増進課、上土井 政恵先生:山陽小野田市立高千帆中学校 栄養教諭、山縣 利恵 氏:山陽小野田市教育委員会 学校教育課)から紹介されました。講演後の質疑応答では、藤田 剛二 氏(山陽小野田市長)、長谷川 裕 氏(山陽小野市教育委員会教育長)、古川 博三 氏(山陽小野田副市長)にも参加者からの質問にお答えいただくなど議論にご参加いただき、総合討論を真に実のあるものにしてくださいました。演者と参加者双方にとって、これからの教育・研究活動の充実と発展への新たなアイデアを生み出す契機になれましたら幸甚です。

 国際交流企画では、当学会事業として日韓中共同研究が進めれていることについて河本 洋子先生(学会会長)のご挨拶の後、研究の背景や進捗を報告・共有いたしました。韓国からは招待講演者の 徐 相玉先生金 銀正先生 が、共同研究者の 白 承熙先生 と共に来日し、韓国の子どもの遊びの様子をご紹介くださいました。共同研究の中国のパートをご担当くださっている 陳 兆麗先生 には、中国の幼児教育を取り巻く現在の状況をご紹介いただきました。徐先生、金先生、陳先生との連携にご尽力くださっている 長島 万里子先生 には、日韓中の保育・幼児教育に関わる法制度や「遊び」「主体性」を中心に目指す方向性の最新情報を、ご講演で解説していただきました。会員の皆様には、この共同研究の本調査実施にあたり今後もご協力をいただけますよう、お願いを申し上げる次第です。

 国際交流企画の最後には、「コマで“遊ぶ”」と題した 馬場 桂一郎先生(当学会特別顧問)によるワークショップ。コマを通した他国の人たちとの数々の交流の逸話をご紹介いただきながら、直径・高さとも20 cmほどある大型のコマ回しを実演していただきました。重厚感のあるコマ回しは見事一発で成功。大歓声と拍手が上がりました。馬場先生にはアジア各国のコマの展示・披露があり、休憩時間には参加者が様々な形のコマに楽しく挑戦する姿が見られました。

 「自発性」「自律性」を語るシンポジウムでは、3名の演者(儀間 裕貴先生:東京都立大学、柳田 信也先生:東京理科大学、野井 真吾先生:日本体育大学)にそれぞれの分野から、「遊び」「主体性」と密接にかかわる「自発性」と「自律性」を軸にご講演いただきました。人が胎児期に始まる連続的な発達段階において、運動・感覚を通した精神・身体的な発達がいかにして起こるのかを生理学的な観点から捉え直すとともに、今の社会の中で子ども「自身」が何をどう感じているのかについての貴重な研究結果の解説がありました。

 プログラムを通して、子どもたちのを取り巻く社会環境に主体性や遊びが重要という目標が共有される一方で、幼児教育・保育の現場でそれを実践することの難しさも改めて浮き彫りになったかと思います。大会での議論・意見交換が、参加者それぞれの現場での何かを一つでも変えてみるきっかけになればと願っています。

 なお閉会行事では令和3年度の中永征太郎賞の受賞者として、永瀬 悦子先生(郡山女子大学短期大学部幼児教育学科)が表彰されました。現地・オンライン双方の参加者から、受賞者に会員より温かい拍手が送られ、さらなる日本幼少児健康教育学会の充実・発展への思いに包まれました。

 次回、日本幼少児健康教育学会41回大会【春季:熊谷大会】は、2023年2月24日(金)、25日(土)に埼玉県の立正大学熊谷キャンパスで開催される予定です。皆様にお会いできることを楽しみにしております。

 最後になりますが、開会式にご臨席賜りご祝辞をいただきました山陽小野田市立山口東京理科大学池北 雅彦理事長望月 正隆学長に厚く御礼を申し上げます。山陽小野田市との共催シンポジウムを 小野田 淳人(大会組織委員長)と共にコーディネートしてくださり、閉会式までの全プログラムにご出席くださり今大会をご支援くださいました 武田 健先生(山陽小野田市立 山口東京理科大学 薬学部長)に、深い感謝の意を表します。今大会の国際交流企画は 長島 万里子先生(洗足こども短期大学)、「自発性」「自律性」を語るシンポジウムは カルマール 良子先生(美作大学 短期大学部)コーディネーターとしてご準備くださいました。新本 惣一朗先生(安田女子短期大学)と 阪江 豪先生(大阪人間科学大学)には、広報担当として大会当日の記録を丁寧におとりいただきました。大会全体の企画や運営は、大会顧問として 桐原 由美先生(国際学院埼玉短期大学)ならびに 河本 洋子先生(青山学院大学 名誉教授)に全面的なご支援をいただきました。山陽小野田市立 山口東京理科大学の 立花 研先生 ならびに 大庭 尚子先生には、開催準備や当日の会場運営にご尽力いただきました。この場をお借りして心より御礼申し上げます。

 大会当日には抄録集と合わせて、山陽小野田市をお楽しみいただく2つの冊子を配布いたしました。ご参加の皆様には近隣各所もゆっくりお楽みいただきたかったところを、あいにくの台風により叶わなくなってしまいました。是非ともまたお越しいただき、山陽小野田市の文化、食、風土を堪能していただければ幸甚です。 

 日本幼少児健康教育学会第41回大会【秋季:山陽小野田大会】
  大会会長    梅澤 雅和 (東京理科大学)
  大会組織委員長 小野田 淳人(山陽小野田市立山口東京理科大学) 

 PS. 宇部日報に、当学会大会の開催が紹介されました。➡ 理大で日本幼少児健康教育学会 市のスマイルエイジングやモジュール学習紹介【山陽小野田】|宇部日報(2022.9.20、11面)
 なお、この記事中で参加者は72名という記述がございますが、正確には現地・オンライン合わせて127名のご参加をいただきました。